ミネラルについて 透析患者さまとカリウム

 ミネラル(無機質)とは、大まかにいうと、炭素、窒素、酸素、水素の4元素以外のすべての生体元素を含みます。生命を維持するうえで必須の元素は約20種類といわれおり、からだの構成成分であったり、からだの機能調整に関わっています。生体内に多く含まれるカルシウム、リン、カリウムや微量に存在する鉄、亜鉛などが含まれます。

 

 今回はその中のカリウムのお話を致します。カリウムは神経情報の伝達などに関与しています。細胞の周りの膜にあるナトリウム-カリウムポンプの働きでナトリウムイオン3個が細胞の外に出され、カリウムイオン2個が細胞の中に取り込まれます。その結果、細胞の中のカリウム濃度は100-150mEq/Lと高濃度であるのに対し、細胞外は3.5-4.5mEq/Lと低値になっています。

 

そうした働きにより細胞には一定の膜電位が生じます。何らかの刺激によりナトリウムやカリウムが細胞の内外を移動することにより、活動電位うまれ、その情報が電気刺激として他の細胞へと伝達されていきます(右図)。心臓の規則的な収縮にもこの電気的な刺激が利用されています。

 

カリウムが高値になると神経、筋の機能に異常が生じます。体を動かせという脳からの命令がうまく神経伝達できなくなり力が入らなくなったり、触覚、痛覚などの感覚がうまく脳に伝わらなくなったりします。また心臓の規則正しい電気刺激が阻害され、重篤な不整脈を起こし、心停止をきたす可能性もあります。一方でカリウムは低すぎても神経伝達障害や不整脈の原因となります。透析前の採血で3.5mEq/L以上、5.5mEq/Lもしくは6.0Eq/L以下が目標です。一般の透析液のカリウム濃度は2.0mEq/Lで極端なカリウム制限やカリウム摂取量に対し過剰な血流量(QB)や長すぎる透析時間は過度な低カリウム血症を来たす可能性があり危険な場合があります。

 

カリウムの多い食品として生野菜、果物、豆類、海草、ドライフルーツなどが挙げられます。カリウムを減らす調理の方法として、カリウムは水に溶けやすいため、細かく切って水にふれる表面積を増やし、ゆでて、お湯を切ることによって10-50%減らすことができます。

 

<まとめ>

 

血清カリウム濃度異常は不整脈や心停止を起こしうるので注意が必要です。透析前で3.55.5 (6.0) mEq/Lが目標値です。